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過程にどんな話があったかは、結果を見れば一目瞭然。バレンタインは、女の子の告白タイムであるが、同時に男の子にとってはかなり自分の誇りとの戦いだ。ある意味、商業戦線に乗せられているのだが、一種のお祭り、つまり人騒がせな行事にはそんなことは関係ない。要は女の子の心が満たされれば万々歳なのである。
団蔵の靴箱には、入りきれないほど可愛らしい包み紙に包まれたチョコレート類が入っていたし、虎若は虎若で団蔵とまではいかずとも片手に余るぐらいのチョコをもらっていた。かくいう兵太夫は、本命チョコをもらったと喜んでいたが次の日、義理チョコだったと肩を落として学校に来た。だが何があったのかしらないが、下校するころには「義理を本命にしてやるんだ」と何故か庄左ヱ門に宣言して足取り軽く帰宅した。三治郎もきり丸も人並みに貰い、しんべえはお重ちゃんから恒例の特大チョコを貰って、昼休みにおいしそうに食べていた。乱太郎も何だかんだいいながら、ユキちゃんから大きく「義理」とホワイトチョコで書かれたものを貰っていた。
ろ組は魔道同好会の後輩から、見るからに体に悪そうな緑色や蛍光ピンクの色をしたチョコレートらしいものを貰って喜んでいた。彼らの趣味は分からない。対してい組の面々は、誰ももらっていなかった。普段の馬鹿にした態度がマイナスに響いたのは明白で、は組の面々は冷やかした。「い組の「い」は、イケメンの「い」じゃなかったのかよ」
「ちょ、チョコレートの一つや二つ貰ったくらいで、いい気になるな!」
「チョコの数で男の何が分かるってんだよ!」
意地になってい組の面々は言い返してみるものの、結局墓穴を掘っていた。
「0点チャンピオンって歌、知らないのか」
「何だよ、それ」
「男にとって、大事なのは女の子にモテることなんだよ!!」
「しかし何でチョコレートってこんなに旨いんだ」
団蔵が部活帰りに「腹減ったから」と言って食べだした。一緒に帰っていた虎若は、団蔵の持っているパッケージを見て、驚いた。
「団蔵、それは旨いはずだよ。ゴディバだよ。凄いねえ。ってか団蔵、これをくれた子、誰だか覚えてる?」
虎若は団蔵に「食うか」と問われて「じゃあ一つ」と小さいチョコレートを取った。
団蔵はもう半分以上食べてしまっている。
「えーっと、誰だったか。多分、隣の女子高の子だったんだけど」
忘れた、ってか俺に渡して直ぐどこかへ行っちゃったもの。
虎若は「そりゃあ、可愛そうだ」と応じた。
「可愛い子だったから、会ったら直ぐ分かる!」旨い、と団蔵は満面の笑みそのものだ。
「お前の“可愛い“の基準がイマイチ、長い付き合いだけど、分からないんだよなあ」
虎若は困ったように言った。可愛いものは可愛いんだ、と団蔵は意にも介さない。
「団蔵、」
金吾が後方から駆けてきた。
「お前、いいもの食ってんな。俺にも頂戴」
「いいぜ、ほら」と団蔵は差し出した。虎若は心境が複雑だ。どうやら団蔵は、女の子にモテる=チョコの数が多い=食欲を満たすものという図式らしい。女の子がこの光景を見たら泣くなあ、と虎若は彼女を不憫に思った。
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団蔵の「可愛い」は基準が分からない←似奈ちゃん案。これをどこかで活かしたかっただけです。
こんなんでよろしい?
20090205
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