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クリスマスシーズンのこの時期、英語の時間は、リスニングテストという名前の息抜きの時間が一時間だけ入る。山本シナ先生が、「いつもいつもば教科書ばかりだと飽きるでしょう?」と言いながら、『クリスマスソングでリスニングテスト』という少しも嬉しくない穴埋めプリントを配った。
定番ソングが2曲、行儀よく並ぶ。英語ばかりで、頭が痛い。団蔵は気力が萎えた。
「じゃあ、まず一回流すから。一回で聞き取れなくても、二回目で聞き取れれば、いいから。」
二回目で聞き取れということか。
無理だな、と団蔵は早々に諦めた。
「じゃあ、流します。」
印象的なリズムがオーディオから流れ出す。
どうして同じ男なのに、こんな綺麗な声が音程も外さず出るんだろうな。
団蔵と金吾は、ほぼ同時に、心地よいメロディに身を委ね、シャープペンシルは持ったまま、数秒で意識を手放した。
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今日はリスニングか、これは中学生の時に聞いたな。
庄左ェ門は遥か彼方の記憶を掘り出す。
メロディはとても素敵なのに、歌詞の内容は哀しい。別離というんだろうか。悲恋というんだろうか。
去年のクリスマスの日に、僕は君に僕の心を捧げた。だのに…
誰かを好きだの嫌いだの、フラれただのフっただの、人間は恋の歌以外に作れないんだろうか。確かに、相手を想って様々に悩み泣くことは万人に共通だろうけど。手を変え品を変え、年中、恋に飢えているような気持ちがする。特にクリスマスだから取り上げることは、……
…
たかがクリスマスの曲に、僕は何を考えているんだろう。これは「教材」だ。先生の趣味で息抜きだ。単語や文法を確認して、それで終わりだ。余計なことは考えない。
…
いい曲だということは認めよう。だが僕は、”雨は夜更け過ぎに”と歌う方が好きだな。
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洋楽はほとんど知らない。音楽の授業で取り上げられたStand by meや中学生の時に掃除の時間に流れていた、Top of the Worldしか知らない。映画も金の無駄だから、見ない。テレビもそれほど好きじゃない。コンビニでバイトをしているときに、有線放送でよく流れている曲だったから、ああコレかと思った。
歎き、だな。
きり丸は穴埋めした後、シャープペンシルを置いた。
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はにゃ~、リスニングなんて、分からないよ。団蔵は寝ているし、きり丸はもう終わったみたいだし、庄左ェ門が空を睨んでいるときは何か考えている時だし…女の子たちは楽しそうだし。
うむ、分からない。でもまあ、きかなきゃね。
…This Year to………tea…?なんだ、早くて無理だ。悲しくなってきた。こんなんであと二年大事かなあ。まあ、大丈夫なのかなあ。あ、英語で「ナメクジは好きですか?」って英語で何と言うんだろう。金吾に聞こう。
金吾に、「それ、中学一年の英語だぞ?」と突っ込まれるまであと27分。
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高校生を見ながら思ったことでした。
ちなみに私は喜三太レベルの英語能力。
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