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師走四日。
「今年も、残り648時間」
クラスの女の子たちが、紛らわしく言う。
部活帰りの体力馬鹿な三人組は、通学路上のマクドナルドに腰を落ち着けていた。育ち盛りの肉体には、昼の二人分の弁当も形無しだ。
フィレバーガーを頬張りながら、金吾が口火を切った。
「世の中クリスマス、俺達は部活三昧!年明けには、実力テストだぞ。先生は俺たちに遊ばせないつもりだ!」
「今年はクリスマス、ないなあ」のんびりコーラを口に運ぶのは、虎若だ。
「去年は、あったっけか?俺の記憶だと、大晦日と元旦は」
「告白された」
「へぇ、そう。大晦日と元旦は休みだったから、」団蔵がポテトを4,5本つまんで口に入れる。
「「本当?」」
団蔵と金吾は、身を乗り出して素敵な二重奏をした。
「で、どうしたの?虎ちゃん!」
「断ったよ」
金吾は天井を仰ぎ、団蔵はテーブルに突っ伏した。
「どうしたの、二人とも」
虎若がきょとんとしている。
「どうして言ってくれなかったんだよ!俺に!」
団蔵が、頭をかき回す。
「団蔵、何を言っているんだ。質問が違うぞ。なあ、虎若、何故振ったんだよ?」
そんなチャンス、滅多にないぞ、と金吾がコーラを飲みながら言う。
「だって、とても大事な試合だったじゃないか。な、団蔵」
「そりゃあ、そうだけど。」
「えらく禁欲的だな、虎若って」
「今大事なものは、大事にしたいよ。先輩たち、凄く頑張っていたしね」
団蔵は、虎若の発言に耳を貸しつつ往来を眺めている。
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